抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
アリのコロニーでは,群を作ることで高いスケーラビリティーでの労働分担や資源分配が可能になっている。アギトアリ属(Odontomachus)の個体は,複雑な社会的行動だけでなく,脅威にさらされると大顎を瞬時に閉じることによって上方へ「逃避跳躍」したり,脚を使って前方に跳ねることによって障害物を越えたりするための,優れたマルチロコモーション機構を獲得している。昆虫のこうした多様な生体力学を模倣し,さまざまな環境における群行動を研究することは,緊急救援,探査,モニタリングのような状況に対して展開可能なマルチロコモーション・ロボット群の開発につながる可能性がある。しかし,単純な設計とスケーラビリティーによって,こうした能力をサイズの小さいロボット機構で実現することは,依然として重要な課題である。既存の群ロボットは,移動様式の制約から,二次元表面上に動きが限定されており,個々のマルチロコモーション・ロボットは,ハードウエア設計の複雑さ,サイズ,コストが増えるという問題から,大量生産が難しく,大きな群へのスケールアップが困難である。今回我々は,小スケール陸上ロボットの設計とスケーラビリティーの課題に対応する,アギトアリから着想を得た自律型マルチロコモーション昆虫スケールロボット(ミリロボット)を実証する。このロボットのコンパクトな移動機構は,最小限の部品と組み立て工程を用いて構築され,パワーが調整可能であり,異なる5つの移動形態,すなわち鉛直方向の高い跳躍,水平方向の長距離跳躍,宙返りによる障害物飛び越え,凹凸地形上の歩行,平坦面上の匍匐を実現している。このテザーなしバッテリー駆動ミリロボットは,移動形態を選択的に切り替えて,さまざまなタイプの地形を乗り越えることができる。また,ミリロボット群としては,大きな物体を協働して操作したり,集まって障害物を乗り越えたりすることができる。我々は,機械層,材料層,エレクトロニクス層を統合した準二次元メタマテリアルのサンドイッチを折ることによって,10gの手のひらサイズの試作ロボット(これまで報告された中で最も小さく最も軽いマルチロコモーション自律ロボット)を作製した。こうした設計によって,タスク効率,融通性,廃棄性の高いロボットを,組み立て工程なしで大量に生産できると考えられる。Copyright Nature Japan KK 2019