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J-GLOBAL ID：201902263157956691   整理番号：19A2737596

白川村の地形モデルを用いたCFD解析と合掌造り民家の温熱環境実測

CFD ANALYSIS CONSIDERING REGIONAL TOPOGRAPHY AND MEASUREMENT OF THERMAL ENVIRONMENT IN GASSHO-STYLE HOUSES IN SHIRAKAWA VILLAGE

著者 (4件)： 小川夕季 (法政大学デザイン工学研究科) ,  出口清孝 (法政大学デザイン工学部) ,  川久保俊 (法政大学デザイン工学部) ,  大風翼 (東京工業大学環境・社会理工学院)
資料名： 日本建築学会環境系論文集  (Journal of Environmental Engineering (Transactions of AIJ))
巻： 84  号： 763  ページ： 865-872(J-STAGE)  発行年： 2019年 
JST資料番号： L4761A  ISSN： 1348-0685  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 白川郷と五箇山の歴史的村落における合掌造り住宅は,日本の風土特有の建築の最も有名な例の一つである。それらの住宅は,そのデザインだけでなくそのパッシブな性能についても注目すべき茅葺の屋根を有している。特に,白川村の住宅は,地域の地形,気候,および文化によく適合している。しかしながら,どの研究も,住宅に影響を与えている可能性があるにも拘わらず,白川村の周辺の地形,特に庄川渓谷の地形上の特徴を考慮してこなかった。今日までに行われた調査には,指摘すべき多くの課題がある。例えば,シミュレーションや測定は風環境に及ぼす地形の影響を考慮しておらず,また暖房に関する詳細はまだ明確になっていない。ここでは,住宅の有利な特性を,実際の測定と計算流体力学(CFD)シミュレーションによる環境工学の観点から調べた。最初に,白川村の風環境を,複合地形モデルを用いたCFD解析によって評価した。結果を可視化したところ,風が北部から流れて土地の輪郭に従っていくことが分った。風速は盆地の中心付近で増加し湾曲したり狭い地域では減少する。風速は密集した住宅によっても減少した。要約すれば,シミュレーションにより荻町が低い風環境であることが示された。第2に,夏の住宅における熱環境を調査した。厚い茅葺屋根は温度の急激な上昇を防ぐとともに快適な環境を維持していた。茅葺屋根によって囲まれた屋根裏部屋における温度日較差は,板壁で作られた1階のそれより小さかった。養蚕という面においては,その屋根裏部屋における室内気温と風速とは蚕の生育のための適切な環境であったことを意味していた。第3に,冬の住宅の熱環境を調査した。ヒーターからの放射熱の影響は限られた範囲にしか到達できず,住宅内の室温は低かった。また,雪防護柵は熱損失を減少させて住宅の断熱能力を改善していた。暖かい空気は対流により上方に拡散し,2階では広い範囲にわたって温度が上昇する傾向があった。ヒーターの近くの温度感覚は放射温度の上昇により改善されたが快適なレベルまでには達しなかった。合掌造り住宅は白川村の気候に適合していて夏にも冬にも共にふさわしく,多くの住宅における環境は寒くはあるが耐えられるものであった。一つの都市域より大きい面積の白川村の約4分の1を,検証のための分析領域として目標とした。不均一な地形の風環境に対する解析結果を住宅の解析における境界条件として用いた。本研究では,レイノルズ平均ナビエ-ストークス方程式を乱流モデルとして用い,構造化グリッドを用いてシミュレーションを実行したが,ラージエディシミュレーションと非構造化グリッドの使用は将来の研究において検討されるべきである。分析の精度は課題のままであるが,この方法は周辺地域における地勢と気候の影響を評価するために用いることができる。本研究の結果は,建築設計にパッシブ技術を導入するのに有用であると期待される。(翻訳著者抄録)

シソーラス用語： 解析モデル ,  *数値解析 ,  建築環境 ,  *温熱環境 ,  計算流体力学 ,  *建築様式 ,  現地調査 ,  シミュレーション ,  乱流モデル ,  Navier-Stokes方程式 ,  地形 ,  勾配屋根 ,  岐阜県 ,  集落 ,  *独立住宅
準シソーラス用語： CFD解析 ,  レイノルズ平均ナビエ-ストークス方程式 ,  茅葺屋根 ,  構造化グリッド ,  合掌造り ,  実測調査 ,  地形モデル ,  風環境 ,  白川村

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分類 (2件)： 建築環境一般  (RB02010T) ,  住宅建築,農村建築,城  (RB05040V)

引用文献 (16件)：

• 1) Shirakawa Village : History of Shirakawa Village (Vol. 2), Committee of Shirakawa Village, 1998 (in Japanese) 白川村: 白川村史 中巻, 白川村史編さん委員会, 1998
• 2) Japanese Society of Sericultural Science : Introduction to Sericultural Industry, Japanese Society of Sericultural Science, 2002 (in Japanese) 大日本蚕糸会 : 蚕糸学入門, 日本蚕糸学会, 2002
• 3) Japan Meteorological Agency. Available at : http://www.data.jma.go.jp, accessed 2018-10-2 (in Japanese) 気象庁データベース: http://www.data.jma.go.jp (2018-10-2閲覧)
• 4) Hayakawa, N., Miyaoka, F. : CFD (Computational Fluid Dynamics) on the Wind Environment of the Gassho-style Houses in Shirakawa-mura Ogimachi, Urban Housing Sciences, Vol. 79, pp. 14-19, 2012 (in Japanese) 早川紀朱, 宮岡大 : 白川村荻町の合掌造集落における風環境に関するCFD解析, 都市住宅学, 第79巻, pp. 14-19, 2012
• 5) Yanase, T., et al. : Studies on Microclimate of a Folk House in Japan Part4. On the Thermal Conditions in folk House of Steep Gable (Gassyo) Style in Shirakawa, Research Journal of Living Science, Vol. 16, No. 1-2, pp. 64-73, 1969.12 (in Japanese) 梁瀬度子, ほか3名 : 岐阜県白川村合掌造り民家の室内気候について, 家政學研究, 第16巻, 第 1-2号, pp. 64-73, 1969.12

タイトルに関連する用語 (7件)： 白川村 ,  地形モデル ,  CFD解析 ,  合掌造り ,  民家 ,  温熱環境 ,  実測