抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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フダンソウとホウレンソウはヒユ科に属する。フダンソウは抗酸化能を持つベタシアニン色素に富む。本研究では,植物へのNa侵入抑制と酸化ストレス軽減の観点から,ホウレンソウとフダンソウの耐塩性を比較した。Na処理濃度の増加に伴い,根部とシュートにおけるホウレンソウのNa含量が増加した。原形質膜のATPアーゼ活性とグリシンベタイン含量に基づき,根部へのNa侵入抑制能は,フダンソウと比べホウレンソウで低かった。しかし,Na処理により,両植物のシュートにおける原形質膜ATPアーゼ活性とグリシンベタイン含量は増加した。Na処理によるNa含量増加パターンは,フダンソウはホウレンソウとは顕著に異なっていた。植物成長を維持するNa含量濃度範囲内では,シュートのNa含量はNa処理濃度増加に伴い増加した。しかし,より高い処理濃度では増加しなかった。一方,根部のNa含量は,植物成長維持するNa処理濃度では変化しなかったが,濃度を超えると急速に増加した。ホウレンソウとフダンソウの過酸化水素含量とスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性はNa処理とともに増加し,成長維持及び成長阻害Na濃度において顕著に増加した。どの試験濃度でもホウレンソウのカタラーゼ活性はNa処理で実質的に増加したが,フダンソウの場合,成長阻害Na濃度のみ増加した。ベタシアニン含量はNa処理や処理濃度にかかわらず変化がなく,シュートでは一定値であった。このように耐塩性はホウレンソウよりもベタシアニン含有フダンソウで高かった。植物への過剰侵入Naの排除と分布の量と様式は両種間で異なった。この知見から,少なくとも成長阻害濃度より低いNa濃度ではベタシアニンは酸化ストレス軽減に寄与し,フダンソウの耐塩性増加をもたらすと示唆された。ベタシアニン濃度はNa処理では変化しないので,高塩分条件下で成長したフダンソウでは抗酸化レベルは影響されないかもしれない。(翻訳著者抄録)