抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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種の多様性の評価で用いられる種の多様性指数の算出においては,観測に要した努力量(サンプリングエフォート)の影響の考慮が重要となる.しかし,サンプリングエフォートにはサンプリングした生物の個体数に基づく個体ベースとサンプリングに用いたサンプルの数に基づくサンプルベースの2つの考え方があり,港湾の種の多様性評価に携わる技術者にとって,どちらの考え方を実務で採用すべきか分かり難い.また,港湾で着目すべき小型無脊椎動物群集の種の多様性指数のサンプリングエフォートに対する応答の知見が少なく,信頼性のある観測のための情報が不足している.本研究では,まず,2つのサンプリングエフォートの考え方の比較と仮想群集を題材として,サンプルを配置する時空間において群集が異質に分布している場合に2つの考え方から求まる多様性指数の性質は異なること,それぞれのサンプリングエフォートには考え方と解析技術上の利点と欠点があることを示した.また,実際の港湾の小型無脊椎動物の群集データの解析から,種の多様性の空間異質性に着目した場合,2つの考え方に基づく多様性指数を併用することでその異質性を詳細に把握できることを示した.このことは,保全する場の検討の際に重要となる.次に,仮想群集の解析を通じて,優占種をサンプリングし尽くすことが精度の良い多様性指数の推定するために重要であることを明らかにし,実際の港湾の小型無脊椎動物の群集の解析結果から,目安となる信頼性のある観測のためのサンプルサイズを示した.港湾の種の多様性の評価に携わる技術者は,本研究の成果を参照することで,適切に解析手法を選択し,信頼性のある観測計画を立案することが可能になるものと期待される.(著者抄録)