抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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湖沼に生息するユスリカ幼虫等の消費者が,メタン酸化細菌を摂食することでメタン起源炭素を同化する,メタン食物連鎖の存在が近年の研究で明らかになった。メタンの炭素安定同位体比(δ
13C値)は極端に低いため,消費者のδ
13C値からメタン食物連鎖の検出が可能である。本総説では,ユスリカ幼虫が介するメタン食物連鎖を中心に紹介する。メタン食物連鎖は,メタンの生成・消費と密接に関係し,湖底直上が貧酸素化すると駆動しやすい。ユスリカ幼虫が形成する巣管は,メタン酸化細菌の好適な生息場所となることで,メタン食物連鎖を促進する。成層する湖沼では,秋の湖水循環により湖底に酸素が供給されることで,メタン食物連鎖が駆動する。一方,浅い湖沼ではメタン生成が高まる晩夏または初秋に最も駆動するが,植物群落の中ではより貧酸素化しやすい条件であるため,成層する湖沼に類似した挙動を示す。高次消費者の魚類までメタン起源炭素が輸送されている事例もあるが,湖沼食物網への寄与については不明な点が多い。メタン食物連鎖は,これまで深い湖沼を中心に調べられてきたが,メタン生成が活発な浅い水域にも広く存在する可能性があり,知見の集積が望まれる。(著者抄録)