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J-GLOBAL ID:202002249337554547   整理番号:20A0840823

ニュートリノ振動において物質と反物質の対称性を破る位相に課される制限

Constraint on the matter-antimatter symmetry-violating phase in neutrino oscillations
著者 (120件):
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巻: 580  号: 7803  ページ: 339-344  発行年: 2020年04月16日 
JST資料番号: D0193B  ISSN: 0028-0836  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: イギリス (GBR)  言語: 英語 (EN)
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素粒子における荷電共役変換とパリティ反転(CP)の対称性は,物質と反物質の間の対称性である。1964年にこのCP対称性の破れが初めて観測され,間もなくして弱い相互作用におけるクォークのCP対称性の破れが立証された。サハロフは,宇宙で観測されている物質と反物質の存在量の不均衡を説明するには,CP対称性の破れが必要であると提唱した。しかし,こうした不均衡を説明するには,クォークにおけるCP対称性の破れは小さ過ぎる。これまでのところ,CP対称性の破れはクォーク以外の素粒子系では観測されていない。レプトンにおけるCP対称性の破れは,レプトジェネシスと呼ばれる過程を通して,宇宙における物質と反物質の不均衡を生む可能性があることが示されている。標準模型の荷電カレント相互作用に現れるレプトン間の混合は,複素位相δCPを通してCP対称性を破る原因となり得る。レプトジェネシスに基づくいくつかの理論モデルでは,こうしたCP対称性の破れが必要である。このCP対称性の破れは,ミューニュートリノから電子ニュートリノへの振動と,対応する反ニュートリノの振動で測定することができる。これらの振動は加速器で生成されたビームを使った実験で観測できることが,東海-神岡(T2K)実験とNOvA実験で確立されている。これまでのニュートリノ振動実験では,δCPの値はほとんど制限が課されていなかった。今回我々は,T2K実験によるニュートリノと反ニュートリノの長基線での振動の観測結果を使った測定について報告する。この観測結果は,ニュートリノの振動確率が大きく増加していることを示しており,反ニュートリノの振動確率の大きな増加をもたらすようなδCPの値を3標準偏差(3σ)で排除した。δCPの3σ信頼区間は,いわゆる標準質量順序では[-3.41,-0.03],逆質量順序では[-2.54,-0.32]と,それらの2πごとの繰り返しである。今回の結果は,レプトンにおけるCP対称性の破れを示唆するとともに,加速器で生成したニュートリノビームを使った手法によってニュートリノ振動における物質と反物質の非対称性を高感度に探索できることを示している。将来のより大量のデータセットによる測定では,レプトンのCP対称性の破れがクォークのCP対称性の破れより大きいかどうかが検証されるであろう。Copyright Nature Japan KK 2020
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素粒子・核物理実験技術一般 

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