抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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食と農の乖離を解消する場として市民農園の役割とその意義は大きいと考えられるが,その利用者はシニア層が多く子育て世代が少ない傾向にある.本研究は,子育て世代の市民農園利用の実態調査から利用しやすい農園の特徴として「フリースペース(遊び場)」「質問に対応してくれる人」「イベント」の3要素を明らかにした.この結果を踏まえ,小学校1年生の保護者に質問紙調査を実施し,市民農園に対する選好として料金は安いほうが好まれ,遊び場,栽培指導,イベントがある事が好まれ,農園の潜在的需要が高い事を明らかにした.これらの結果を踏まえて最後に,食に対する選好及び農業に対する意識と市民農園への選好を交差効果モデルによって分析して食と農の乖離について考察を行った.遊び場を評価する人は同居家族の人数が多い.国産を購入する人は全体としてはイベントを評価していないため,農園利用の選好と食に対する選好は合致しておらず,食と農の乖離が確認された.しかしながら,購入理由として日本農業を支えたいを挙げる人は栽培指導とイベントを評価している.つまり実際の生産現場を想像できる人,および農業による生産機能以外の機能も評価している人は,日本の食料供給のあり方として出来るだけ国内生産が望ましいと考えていることが明らかになった.国産購入理由の多くは安全性や質の高さであるため,子育て世代を含めた多くの人が市民農園を利用することでより農業への理解が深まり,食と農の乖離解消が期待される.(著者抄録)