文献

J-GLOBAL ID：202002263521660398   整理番号：20A0169950

ハス田における防鳥ネットの水鳥類侵入抑制効果

Effect of invasion control of waterbirds by bird-proof netting in lotus fields

著者 (3件)： 小田谷嘉弥 (筑波大学生物資源学類森林生態環境学研究室) ,  山口恭弘 (農研機構中央農業研究センター) ,  熊田那央 (NPO法人バードリサーチ)
資料名： 日本鳥学会誌  (Japanese Journal of Ornithology)
巻： 68  号： 2  ページ： 317-325(J-STAGE)  発行年： 2019年 
JST資料番号： L4092A  ISSN： 0913-400X  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： ハス田における水鳥類によるレンコンの採食被害の防止のために,防鳥ネットが日本各地で用いられている.本研究では防鳥ネットの侵入抑制効果を検証するため夜間のハス田への飛来数および在不在を指標として,防鳥ネットの効果を他の環境要因と合わせて一般化線形混合モデル(GLMMs)で検証した.2011年の2月-3月(春期)と10月-12月(秋期)にそれぞれ6回の野外調査を茨城県土浦市およびかすみがうら市の80か所のハス田において行い,飛来している水鳥類の個体数を調査した.個体数の平均値は,春期,秋期ともに防鳥ネットを張ったハス田で少ない傾向が見られたものの,水鳥類の飛来数を目的変数としたモデル解析を行ったところ,いずれの季節/種においても防鳥ネットの有無や設置方法の違いは水鳥類の飛来数に影響を及ぼさなかった.一方,ハス田に残されたくずレンコンの量は,カモ類とオオバンFulica atraの合計,カモ類の合計,ヒドリガモAnas penelopeと秋期のマガモA. platyrhynchosの個体数に正の影響を与えており,湖からの距離は春期および秋期のオオバンの個体数に負の影響を,春期のヒドリガモに正の影響を与えていた.すなわち,防鳥ネットによって水鳥類の侵入を有効に抑制できているとは言えず,ハス田における被害対策のためには,防鳥ネットの隙間を作らないような適切な設置に加え,くずレンコンの除去などハス田の環境を考慮した対策が必要であることが示唆された.(著者抄録)

シソーラス用語： 茨城県 ,  ハス属 ,  根菜 ,  *農地 ,  食害 ,  有害生物防除 ,  *水鳥 ,  数 ,  生態学 ,  網
準シソーラス用語： *ハス田 ,  レンコン ,  食害防除 ,  個体数 ,  鳥類生態学 ,  *防鳥ネット ,  環境要因

著者キーワード (8件)： 防鳥ネット ,  ハス田 ,  水鳥 ,  採食被害 ,  Bird-proof netting ,  Lotus field ,  Waterbirds ,  Feeding damage

分類 (2件)： 個体群生態学  (EE03030S) ,  作物栽培一般  (FC03010R)

引用文献 (12件)：

• 明日香治彦・池野 進・渡辺朝一 (2011) 茨城県下のハス田における防鳥ネットによる野鳥羅網被害の状況.Strix 27: 113-124.
• 藤岡正博・中村和雄 (2000) 鳥害の防ぎ方.家の光協会,東京.
• Gelman A, Carlin JB, Stern HS & Rubin DB (2003) <i>Bayesian data analysis</i>, <i>second edn</i>. Chapman and Hall/CRC, Boca Raton.
• 堀井 学・八城和敏・島本桂介・貝塚隆史・金子賢一・石井亮二 (2016) 茨城県における年内掘りに適したレンコン優良系統の選抜.茨城農総セ生工研研報 15: 41-51.
• Martin TG, Wintle BA, Rhodes JR, Kuhnert PM, Field SA, Low-Choy SJ, Tyre AJ & Possingham HP (2005) Zero tolerance ecology: improving ecological inference by modelling the source of zero observations. Ecology letters 8: 1235-1246.

タイトルに関連する用語 (6件)： ハス ,  田 ,  防鳥ネット ,  水鳥 ,  侵入 ,  抑制効果