抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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自然換気は,持続可能な建物の設計に不可欠な要素である。しかし,周囲の気候などのプロジェクトの状況によって利用可能な周囲のエネルギー資源の量が異なるため,システムをうまく組み込むことは依然として困難である。さらに,建築家が概略設計段階で自然換気の適切な計画とファサードを設計することを奨励する可能性のある定量的測定基準の欠如は,自然換気を成功させるための障壁として認識されている。不適切な建築計画とファサードは,後の設計段階で自然換気をうまく実施するための徹底的な検討を行うことを不可能にする。自然換気に関する特別な専門知識を持たない建築家でさえも奨励するには,単純な測定基準を利用して,達成された設計レベルを直感的かつ合理的に評価する必要がある。このような背景から,本論文では,建物設計の初期段階でのパッシブ設計統合のために,単純なメトリックである熱自律性を利用した評価方法について説明した。提案されたメトリックの実用性は,パラメトリックな建物のエネルギーシミュレーションと分析を通じて調べた。熱的自律性は,元々,「熱的ゾーンがパッシブ手段によってのみ,与えられた一連の熱的快適性許容基準を満たすか超える,1年間の占有時間の割合」として定義されている。
7)”この定義では,ASHRAE-55 Adaptive Comfort Standardを熱的快適性の許容基準として使用する。しかし,その基準は冷暖房システムなしで自然換気された建物に適用できる。日本では,基本的にHVACシステムが設置されているため,この方法を日本の建物の設計に適合させるために定義を変更する必要がある。21°Cと27°Cという自然換気システムを備えた建物の実際の運用による室内温度の下限と上限の平均を使用している。ケーススタディから得られた結果は次のとおりである:・過度の外気取り入れによる過度の熱放出がインデックスレベルを悪化させる可能性があるため,多くの換気量ではなく,適切な換気量が,熱的自律性のレベルを向上させるために必要である。その結果,この方法を利用して適切な自然換気性能を見つけることができるが,HVAC設計の冷暖房負荷は,換気量に比例して増加するため使用できない。・例えば,より低い屋外温度限界のような,ベントの適切な運転設定を見つけるためにインデックスを利用することができ,それらを調整することで熱自律性の低下を回避できる。・適切な断熱レベルは,熱自律性のレベルに影響を与えるため,評価することもできる。断熱レベルを高くすると,主に冬季の自然換気システムが動作していないときに,熱的快適性レベルを許容範囲内に維持するのに役立つため,インデックスレベルを向上させることができる。一方,熱負荷のみを評価に使用する場合は,断熱レベルを低くする方が良い解決策になる可能性がある。断熱レベルが低いほど,中間シーズン中にファサードからの熱放出が多くなる。それは過度の内部熱負荷による冷房負荷を軽減する。・その結果,ケーススタディでは,特に自然換気計画と断熱レベルが通常議論される建築設計の初期段階で,熱自律性が自然換気の実装を成功させるのに効果的であると結論付けている。(翻訳著者抄録)
