抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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著者らの研究における建物は,グリーンファサード,再生エネルギーを有する熱源システム,自然換気,および熱アクティブビルシステム(TABS)を特徴とする。建物の平面計画では,窓に沿って“ペリメータゾーン”として開いた廊下があり,この開いた廊下と緑のファサードの組み合わせが熱緩衝ゾーンとして機能する。この建物には,天井放射空調システムと全床吹き出し空調システムの2つの空調システムを設置した。天井放射システムは,逆スラブ構造を採用している。このシステムでは,天井スラブに埋め込まれたパイプに冷水または温水を流すことで天井放射を行う。天井放射空調システムは,熱容量の大きいコンクリートスラブからなる天井を採用している;これにより,室内の熱環境の快適さと安定性が向上する。また,この建物にはTABSを特徴とする。1990年代後半以来,ヨーロッパの多くの建物にTABSが設置されている。ただし,TABSを設置している建物は日本では数少ない。著者らは,2017年から2018年にかけて,建物の天井面と室内の熱環境の熱流束を調査した。天井はコンクリートの蓄熱を利用し,休日に空調システムをオフにしても職場の温度を一定に保つ。この観点から,躯体の熱的挙動を利用することで,天井輻射空調システムの運用性が向上する。周囲の熱環境は,天井放射空調システム動作中の躯体の自律的な熱挙動によって安定化される。熱流束のタイムラグは,TABSを使用した建物躯体の熱挙動のために発生する。運用スケジュールを2時間進めることで,営業時間後の天井面の熱流を低減し,天井放射空調システムを効率的に運用することで,エネルギーの浪費を抑制できた。また,早朝の外気が冷えているため,熱源負荷のピークシフトに伴い,熱源ヒートポンプ(HP)の成績係数(COP)が高くなることが確認された。(翻訳著者抄録)