抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,日本のマンゴー栽培は様々な地域に広まっているが,栽培品種が‘アーウィン’1品種に偏っているため品種構成の多様化が望まれている.近畿大学で育種した‘愛紅’は,‘アーウィン’と比べ,大果で果肉繊維が少ないのが特徴であり,収穫期は2週間~1ヶ月程度遅い中晩生品種であるが,隔年結果性が強い.そのため‘愛紅’を連年にわたって安定生産するには,着花・結実特性を明らかにした上で,‘愛紅’に適した栽培管理法を確立することが求められる.本研究では,‘愛紅’について前年の結実の有無や剪定後の新梢伸長回数が花穂発生率に及ぼす影響を隔年結果性が弱い‘アーウィン’と比較調査するとともに,冬季のMiFT遺伝子の発現解析を行った.その結果,品種間および前年結実の有無による影響が認められ,‘愛紅’は‘アーウィン’と比べ花穂発生率が低い特性を持つこと,また,前年度における結実の有無が花穂発生率に強く影響することが示された.さらに両品種とも剪定後の新梢伸長回数は結実枝より不結実枝で多く,不結実枝では‘愛紅’の伸長回数が‘アーウィン’と比べ多いことが示された.また‘アーウィン’では伸長回数に関わらず高い花穂発生率を示したのに対し,‘愛紅’では伸長回数の多い枝で高くなる傾向がみられた.着果負担の多寡によるMiFT発現量への影響はほとんどみられず,また,‘愛紅’におけるMiFT発現量は‘アーウィン’と比較して低く,このことが‘愛紅’の花穂発生率が低くなる要因である可能性が示唆された.‘愛紅’では,結果母枝として剪定後に3回以上伸長した枝を確保することが生産の安定化に重要であることから,生産と遊休を明確に区別する隔年交互結実栽培法の有効性が示唆された.(著者抄録)