抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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前橋市内の岩神神社には,安山岩質な溶結火砕岩の巨大岩塊があり,1938年に「岩神の飛石」として国の天然記念物に指定された。その起源については指定当初から諸説があり,現在も完全には解明されていないが,赤城火山もしくは浅間火山から泥流で運ばれてきた可能性が考えられている。火山岩の主成分組成でこれら2つの火山を識別することは難しいので,Sr同位体比(
87Sr/
86Sr)による起源判定という手法を前報で提案した。その後,この岩塊から採取した1試料を入手し,
87Sr/
86Sr比を測定したところ,供給源は前橋に近い赤城火山や榛名火山ではなく,西方に遠く離れた浅間火山らしいことが判明した。この試料の全岩化学分析の結果も,浅間火山の岩石の化学組成と調和的である。ただし,「岩神の飛石」と同様の
87Sr/
86Sr比は小野子・子持両火山などの下位に産するやや古い火山岩(ca.6-2Ma)についても得られているので,最終的に起源を特定するためには,年代や化学組成のデータを補充して供給源の候補を絞り込むとともに,泥流発生の原因と巨大岩塊運搬のメカニズムについて解明する必要がある。(著者抄録)