抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,20~30代を中心とする有配偶女性の個票データ(家計経済研究所『消費生活に関するパネル調査』の1993~2001年調査)を用いて,異時点間の労働供給弾性値であるFrisch弾性値を推計するとともに,1990年代以降の景気後退期における,わが国の有配偶女性の労働供給行動を明らかにする。分析の結果,フルタイム労働について,賃金が限界的に1パーセント変化した際の労働市場の参入・退出行動(extensive margin)に関するFrisch弾性値の推計値は0.285になることがわかった。また,労働時間の選択行動(intensive margin)に関するFrisch弾性値の推計値は,フルタイム労働,パートタイム労働ともに統計的にゼロと有意に異ならなかった。賃金の一時的な変動に対する労働供給行動の変化がintensive marginよりもextensive marginの影響を強く受けるとの結果は,米国の先行研究で明らかにされてきたが,わが国でもフルタイム労働を中心に同様の特徴が示されたことになる。次に,就業(求職)意欲喪失効果については,景気後退が深刻化した1997年から1999年にかけてフルタイム労働で顕現化していたことがわかった。また,追加労働者効果についても,本人以外の世帯収入の低下がフルタイム労働やパートタイム労働の選択確率を上昇させる形で1990年代に存在したことが示された。(著者抄録)