抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
アラスカンストリーム(AS)は,アラスカ湾北西岸およびアリューシャン列島南岸を南西に流れる西岸境界流で,アラスカ循環・西部亜寒帯循環・ベーリング海を結び,北太平洋亜寒帯域の熱・淡水輸送に重要な役割を果たしている(Onishi & Ohtani 1999)。アラスカ湾では,ASに中規模高気圧性渦がしばしば観測され,沿岸域と沖合域の海水交換に大きな影響を与えている(Ladd et al.2005)。アラスカ湾の高気圧性渦は,形成域から大きく3種類に分類されている(例えば,Crawford 2000;2002)。Haida渦はアラスカ湾東岸53N付近で,Sitka渦は北東岸57N付近で形成され,主にアラスカ循環中心部に向かって西進する。また,Sitka渦の一部とアラスカ湾北岸(141-144W)で形成されたYakutat渦は,ASに沿って西に伝播する。これらアラスカ湾の高気圧性渦は,渦自身の沖への伝播と渦外縁の移流などによって,高温低塩かつ栄養塩・プランクトン・微量元素(鉄など)を豊富に含む沿岸水をアラスカ循環中心部へ輸送する(Whitney & Robert 2002;Crawford et al.2005;Johnson et al.2005)。アラスカ循環中心部は栄養塩濃度に比べて生物生産が少なく(HNLC海域),渦による鉄の供給が生物生産に重要な役割を果たしていると示唆されている(Johnson et al.2005)。アラスカ湾で形成された中規模渦の一部はアラスカ湾を出てASに沿って西進するが(Crawford 2000),その経路や構造は十分に理解されておらず,熱淡水輸送や生物生産への影響は未知のままである。そこで本研究では,衛星海面高度計データとArgoデータを用いて,ASを西進する高気圧性渦の物理的性質を調べた。(著者抄録)