抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ニホンザルについて,同種他集団や他種と遭遇した際の反応の記録はいくつか報告されているが,複数事例を対象とした総合的な考察は行われていない。そこで,本報では,ニホンザルがムササビを攻撃した稀な事例を報告し,他の先行報告と合わせて機能的な視点から考察を行った。ニホンザルは草食種であるムササビに対して執拗に追跡,威嚇,攻撃を行い,餌撒きの際にもムササビに対する敵対的行動をやめなかった。このように,エネルギーを消費し,リスクの多い行動をとる背景には何らかの利益があることが示唆された。他の動物種の攻撃反応との比較から,ムササビを捕食種である猛禽類と同じカテゴリで認知し,対捕食者行動をとっているものと考えられた。これは,猛禽類による捕食の頻度は低いものの,同様な行動的特徴を有するムササビに対しても敵対的行動をとることにより,猛禽類による捕食の効率的な回避に役立っている可能性がある。