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J-GLOBAL ID:201902259440130596   整理番号:19A0296649

生体系シナプスの高次機能であるニューロモジュレイション機能を模倣した信号伝達相関型シナプス素子の創製

Development of Four Terminal Memristive Devices for Expressing Hetero Synaptic Functions in Neuromorphic Computing
著者 (3件):
資料名:
号: 32 12月  ページ: 62-71  発行年: 2018年12月 
JST資料番号: L5491A  ISSN: 0919-3383  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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現代の汎用コンピュータの基盤であるノイマン型コンピュータは,論理的思考や計算等の左脳型思考を高度に再現する。しかし,直観,パターン認識,連想記憶等の右脳型思考の再現は困難であり,その効率は著しく低下する。人間の脳が待機時で20W,計算時でも+1W程度の仕事率であるのに対し,ノイマン型コンピュータによる右脳的処理には,その数千万倍の消費電力が必要となる。それゆえ,右脳型コンピュータ(以下,脳型コンピュータ)の開発は次世代低消費電力コンピューティングに不可欠である。この脳型コンピュータは生体神経系を模したニューロモルフィック回路からなり,その基幹となるシナプス素子は,入力信号の頻度やタイミング等に応じて,伝達特性をダイナミックに変化させる機能を要し,通常,多数のトランジスタから構成される。そのため,今日産業ベースで開発が進んでいるニューロチップでさえもニューロン数やシナプス数は人間の脳のレベルには到底及ばない。これに対して,酸素空孔をドナーとした金属酸化物メモリスタ材料で作製された2端子素子は,電流・電圧の入力履歴によって抵抗が変化し,その値を不揮発的に保存する。素子単体レベルで記憶・学習機能を持つため,ニューロチップの超高集積・エネルギー効率化を実現するシナプス素子として期待されている。しかし実際には,生体系のシナプス伝達は一入力の変調のみで出力状態が変化するわけではなく,自らもしくは他のシナプスの出力信号の影響を受けている。長期増強を発現するシナプスにはシナプティック・タグが合成され,そのタグが連結した他のシナプスの増強や縮退に影響を与え,シナプス間の連合性と共同性をもたらすことが知られている。また,後細胞からの逆行性信号や連座したシナプスからの信号もシナプスの信号伝達率(重み)に影響し,情報回帰や統合を司っている。以上のように,生体系のシナプス機能は上記2端子メモリスタよりも遥かに複雑であり,高度なコンピューティングには,上記のニューロモジュレイション機能を可能にする素子・回路の開発が必須である。そのため,本研究においては,ニューロモルフィックデバイスにおいて基幹となるシナプス素子に着目し,特に,一方向の信号伝達を,他方向からの入力信号によって制御することのできるシナプス素子,すなわち信号伝達相関型シナプス素子を創製することを目的とした。素子設計にあたり基本となる指針は,非フィラメント伝導機構による動作原理の採用と,従来の2端子構造を凌駕する4端子構造の開発である。TiO2-x単結晶を基板として4つの端子電極を持つ平面型メモリスタデバイス(4端子メモリスタ)を作製し,デバイス中のTiO2-x結晶中の酸素空孔分布とバルクキャリア伝導特性の精密な制御を実証した。酸素空孔分布の制御によって,精度よく抵抗変化をもたらすには,まず,デバイス内の酸素空孔分布の形態を把握することが必要である。今回,TiO2-x結晶で発現する電気着色現象を有効に利用することで,デバイスへの電圧印加によって駆動される酸素空孔分布の局所的な遷移を視覚的に捉えることに成功した。電気的計測により特定した高抵抗もしくは低抵抗状態が,各状態において観察された酸素空孔分布形態より予測される抵抗状態と良い一致を示しており,電界による酸素空孔分布制御に基づく抵抗スイッチングが原理的に機能することがわかった。また,走査透過電子顕微鏡-電子エネルギー損失分光測定により,デバイスのTiO2-x結晶中に,電界によってさらに電気的に還元された電子状態を有する,ナノメートルスケールの結晶相が形成されることを見出し,こうした結晶相の出現が4端子メモリスタにおける抵抗スイッチングをもたらすことを実証した。さらに,本4端子メモリスタの信号伝達相関型シナプス素子としての有効性を検証するうえで,抵抗スイッチングの繰り返し特性を検証したところ,それはデバイス構造を作製するTiO2-x単結晶の面方位に強く依存することが明らかになった。(100)基板上デバイスに比べて,(001)基板上に作製したデバイスは繰り返し特性に優れ,その優位性は,抵抗スイッチングに伴って形成される不可逆的伝導フィラメント構造が抑制されるためであることを確認した。(著者抄録)
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分類 (1件):
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記憶装置 

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