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J-GLOBAL ID:201702281684612191   整理番号:17A0045560

ヤブツバキ(Camellia japonica)‘千年藤紫’紫花色発現へのAlイオンの関与

Aluminum Ions Are Involved in Purple Flower Coloration in Camellia japonica ‘Sennen-fujimurasaki’
著者 (5件):
資料名:
巻: 85  号:ページ: 331-339(J-STAGE)  発行年: 2016年 
JST資料番号: F0626A  ISSN: 2189-0102  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: 日本 (JPN)  言語: 英語 (EN)
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野生のヤブツバキの花は,普通は赤色であるが,しばしば紫色の花が見られることがある。このような紫色の花は,園芸的特性として強く望まれているが,色発現は固定されていない。春に素晴しい紫色の花を付けた樹でも,次の年には野生のヤブツバキの花と同じ赤色の色に戻ってしまう。本研究では,赤色,紫がかった赤色,あるいは紫色の花を付ける品種‘千年藤紫’を用いて,紫色発現に関与する要因について調べた。紫がかった赤色あるいは紫色の花弁の表皮細胞は,赤色と紫色の細胞から出来ていたが,赤色の花弁の表皮細胞は赤色の細胞だけから出来ていた。紫色の細胞の多くは,青黒い顆粒を含んでいた。赤色の花の主要な色素であるシアニジン3-グルコシド及びシアニジン3-p-クマロイルグルコシドは,‘千年藤紫’の主要アントシアニンであった。異なる花色の花間で,アントシアニン含量に明らかな違いは見られなかった。フラボン,フラボノール,けい皮酸誘導体のような発色補助の可能性のある因子は無視できるような量であった。花弁の破砕物のCa,Mg,Mn,Fe,Cu,Znイオンの濃度やpHには有意な差は見られなかったが,Alイオンの濃度には有意差が見られた。赤色の花弁と比べた場合,紫がかった赤色及び紫色の花弁のAl含量は,それぞれ4~10倍,14~21倍多かった。pH4.8に調整したシアニジン3-グルコシド溶液は,薄い赤色で沈殿が見られなかった。この溶液に,Alイオンを添加すると,紫色になり,紫色の細胞で観察された青黒い顆粒と同じような青黒い沈殿が生じた。花弁のスペクトル特性の違いは,赤色の細胞と紫色の細胞の同時発生によって引き起こされ,液胞中の他のAlキレート形成物質やAlの濃度によって影響されると考察された。以上の結果から,‘千年藤紫’紫花色発現は,Alイオンとアントシアニンによるキレート形成によって発現すると推察された。‘千年藤紫’以外の不安定な紫色の花のヤブツバキでの紫花色発現も,同様な機構で発現しているものと推察された。(翻訳著者抄録)
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分類 (3件):
分類
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花き・花木  ,  作物の品種  ,  発生,成長,分化 
引用文献 (24件):
  • Cabrita, L., T. Fossen and O. M. Andersen. 2000. Colour and stability of the six common anthocyanidin 3-glucosides in aqueous solutions. Food Chem. 68: 101-107.
  • Chang, H. T. and B. Bartholomew. 1984. Camellias. B. T. Batsford Ltd., London.
  • Chenery, E. M. 1955. A preliminary study of aluminium and the tea bush. Plant Soil 6: 174-200.
  • Dangles, O., M. Elhabiri and R. Brouillard. 1994. Kinetic and thermodynamic investigation of the aluminium-anthocyanin complexation in aqueous solution. J. Chem. Soc. Perkin Trans. 2: 2587-2596.
  • Goto, T. and T. Kondo. 1991. Structure and molecular stacking of anthocyanins-Flower color variation. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 30: 17-33.
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