抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鈴木ら(2014)は,河川海洋結合モデルを開発し,木曽三川と伊勢湾の水温の将来変化が河川と沿岸域を生息域とするアユの遡上時期に及ぼす影響を検討した。本論の目的は,鈴木ら(2014)の検討の基礎データとなった長良川におけるアユの遡上時期,遡上数と河川水温,海域水温との関係について,詳細に解析することである。解析には,長良川河口堰におけるアユの毎日の遡上数,国土交通省の水文水質データベースからの伊勢大橋における水温データ,および三重県水産研究所による伊勢湾の海面水温(SST)を用いた。SSTとアユの遡上開始時期との解析から,SSTが遡上総数の1%超過日と高い相関をもつことを示した。3月~4月のSSTが高くなるほど,遡上総数1%超過日は遅くなる。河川水温の解析から,第一波の遡上総数5%超過日と高い相関をもつことを示した。3月~4月の河川水温が高くなるほど,第一波の遡上総数5%超過日は早くなり,SSTと逆の傾向である。水温差(海面水温-河川水温)の解析から,第一波の5%超過日と高い相関をもつことを示した。3月~4月の平均水温差が大きくなるほど遡上開始時期は遅くなる。これらの解析結果から,アユの遡上開始時期の目安として第一波の5%超過日が有効な指標になること,また,水温の説明変数として3月~4月の平均水温差が適切であることが分かった。