抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
里海手法は,適度な人手をかけることにより,太く長く滑らかな物質循環と,大きな環境負荷をかけない漁業の両方の実現を目指す沿岸域管理の手法である。外洋の影響を強く受け,海水交換が大きいリアス式の開放性内湾では,海面養殖が盛んである。このような湾の一つである南三陸の志津川湾を対象に,里海手法による沿岸環境管理法の開発に取り組んでいる。リモートセンシングで,魚介類の産卵・摂餌場となる藻場の分布を調べたところ,2011年の東日本大震災による海藻藻場の被害は大きくなかったが,2014年からは磯焼けが生じた。これはウニ漁が震災後3年間行われず,2011年夏に発生したキタムラサキウニが大量に加入したためで,ウニ漁業が藻場を維持する里海活動であることを示している。物質循環を明らかにするため,河川から流入する栄養塩,溶存鉄,粒状有機物と湾内のそれらの現存量,湾外から流出入する量を四季にわたって調べた。その結果,「森は海の恋人」と言われるほど,森林由来のそれらの量は湾内の一次生産に影響を及ぼしていなかった。震災後のカキ養殖筏削減(里海活動)によりカキの成長も環境も震災前の過密養殖に比較し良好になった。地元の漁業組合などと「志津川湾の将来を考える協議会」を組織し,養殖筏台数と配置,海洋環境についてデータをもとに議論し,持続的な海洋環境と漁業の両立が可能となる人手のかけ方について検討している。得られる成果と経験は他の海域の開放性内湾にも応用可能であろう。(著者抄録)