抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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複雑な生体系に分子プローブ法を適用するには,生理的に意味のある相互作用と無意味な相互作用を正確に区別する手法の開発が望まれる。筆者らは,生理活性天然物の多くが光学活性体であることに注目し,両エナンチオマーを用いて上記問題を解決する新手法を考案した。光学活性天然物の両エナンチオマーをプローブ化し,それらを用いた実験結果の差を見ることで,生物学的応答に関与する特異的結合のみを判別する新規標的探索法を「エナンチオ・ディファレンシャル法」と名づけた。本稿では,エナンチオ・ディファレンシャル法によるアメリカネムノキの就眠物質の標的細胞・標的蛋白質の解明について述べた。標的蛋白質は葉枕中に不均等に分布しており,標的蛋白質の局在化が就眠運動を引き起こすことが明らかとなった。就眠物質は葉枕部分内側の運動細胞の原形質に存在する膜蛋白質と結合し,カルシウムイオンをセカンドメッセンジャーとするシグナル伝達系を経てカリウムチャネルを活性化する。その結果,葉枕部分の片側の運動細胞のみに体積変化が起こり,葉の上下の細胞間に体積差が生じて,葉の開閉運動が起こると考えられる。