抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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工作機械等の位置制御機構で発生する,転がり摩擦による制御精度劣化が問題となっている。転がり摩擦は変位領域によってその振舞いが異なり,転がり要素が転がる粗動領域ではクーロン摩擦による摩擦の静的特性を示し,転がり要素が転がりきらない微動領域では非線形ばね要素として動特性を示す。位置決め動作において転がり摩擦が非線形ばね要素として振舞うのは,始動及び整定時の微動領域であり,特に,整定時では収束性の悪い応答(遅い応答)による整定精度の劣化が経験される。しかし,遅い応答の発生メカニズムは明らかでなく,その補償法も明確でない。本研究では,リニアモータ駆動テーブル装置を対象とし,高精度軌跡制御を実現することを目的として,位置決め整定精度の劣化を招く,遅い応答の発生要因の明確化と摩擦補償を行った。遅い応答発生要因の解析においては,転がり摩擦が粗動・微動で振舞いが異なることに着目して,実機転がり摩擦をモデル化し,転がり摩擦モデルを用いたシミュレーショ解析を行った。その結果,位置整定時の遅い応容は,オーバーシュートによる速度反転後の微動領域において転がり摩擦が非線形ばね要素として振舞うことが要因であることを,周波数領域ならびに時間領域における解析から明らかにした。さらに,摩擦補償設計においては,遅い応答を招く転がり摩擦非線形ばね特性の補償を考慮した転がり摩擦モデルに基づく摩擦補償を提案した。そして,提案摩擦補償の有効性を実機実験により検証し,遅い応答の圧縮による位置決め整定精度の向上と共に,目標制御仕様を満足する軌跡制御を実現した。