抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本の海岸線は南北に長く気候条件が異なるため,海岸林においてさまざまな種類の樹木が存在している。中でも本州の中部から九州にかけて最も多く生息する海岸林はクロマツである。本研究では,温暖な気候を利用して柑橘栽培の盛んな愛媛県において果樹園の飛塩防止と海岸防災林としての機能の低下が懸念されるクロマツ林を補完する目的で,耐塩性を有するマサキの防潮林としての適応性の検証を行った。実験は植栽条件に関するもの3種(灌水濃度による影響,灌水間隔による影響,土壌塩分の影響)とした。灌水濃度による耐塩性試験の結果,灌水塩分濃度1.75%でもマサキの生育は良好であり,松山市における降雨中の塩分濃度も約0.2%であるため,マサキは順調に生育するものと考えられた。塩分濃度3.5%では実験開始から11日目に葉部の変色が確認されたが,1週間は生育が良好であったため台風や高潮の塩害にも耐える樹木であると考えられた。また過去56年間の気象庁の年平均降雨日数と台風接近数のデータから灌水間隔による影響調査をした結果,寡雨地帯でもマサキの生育は可能であると考えられた。海岸地域の土壌塩分濃度を考慮した試験の結果,土壌塩分濃度が0.04%では対照区の0%より葉部の変化が早かったが,各部位の塩分含有量に差は認められなかった。研究の結果,マサキは飛塩,通常の降雨条件でも生育は可能で,塩害に対しても耐塩性を有し,海岸周辺での植栽も可能であることから,マサキは防潮林として活用が可能であることが明らかになった。