抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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省エネルギー社会の実現に向けて,スイッチング用パワーデバィスの低損失化が要望されており,半導体接合には,高い耐圧特性と低いオン抵抗特性の両立が急務となっている。しかし,これまで耐圧特性とオン抵抗特性はトレードオフの関係にあった。これに対し,近年,横型の薄層pn接合を積層させた接合であるSuper junctionが提案され,耐圧とオン抵抗のトレードオフを克服することが可能になった。そして,GaN系材料を用いたデバイスの報告が活発におこなわれており,非常に高い二次元電子ガスの誘起と,高い耐圧特性が示されている。しかしながら,その特異な耐圧特性を説明可能なモデルに関しての報告はほとんどなかった。本研究では,GaNを用いた接合における低いオン抵抗特性と耐圧特性を説明可能な新しいモデル(Natural Super junction)を提案する。この接合モデルは,分極を有する単層の半導体層の表裏に,自然に誘起される正負の分極電荷の量が等しいことに基づいており,順方向バイアス印加時には,分極電荷に誘起される高密度の自由キャリアが電流に寄与し,一方,逆方向バイアス印加時には,分極電荷の平均値がゼロとなるために,GaN材料は絶縁体のように振舞う。デバイスシミュレーションとチャネル構造の異なる,デュアルリセス構造を有するダイオードにより本接合モデルを検証した。作製したダイオードは,耐圧とオン抵抗のトレードオフを克服しており,耐圧9300V,オン抵抗176mΩcm
2を実現することができた。この接合技術は,省エネルギー社会の実現に向けた低損失パワーデバイスに広く適用できる基本技術となることが期待できる。