抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
近年,瀬戸内海では赤潮・貧酸素化をはじめとする富栄養化問題とノリの色落ちなどの貧栄養化にともなう漁業問題が同時に起きており,各海域における栄養塩動態の解明が重要な課題となっている。本報では,瀬戸内海の各海域における,溶存無機態リンおよび溶存ケイ素の季節変動および1994年から現在(2005年)までの変動傾向を調べた。溶存無機態リン濃度は瀬戸内海全域においてほぼ共通する季節変動を示すことが明らかになった。すなわち,4-8月の間は低水準で推移し,9月に上昇を始めて11-12月に最も高くなり,1月から4月にかけて低下していき4-5月に最も低くなる季節サイクルを示した。溶存無機態リン濃度の季節変動は,溶存無機態窒素濃度のそれともほぼ共通していた。一方,溶存ケイ素では,春季(3-4月)または夏季(7-8月)に濃度が極大になる海域が多く,季節変動パターンが窒素・リンとはやや異なった。また,海域による季節変動パターンの違いも窒素・リンに比べて大きかった。溶存無機態リンでは,溶存無機態窒素において示された全期間(1994-2004年度)を通じた濃度の低下は見られなかった。一方,備讃瀬戸では,溶存ケイ素濃度の11-12月平均値が全期間(1994-2004年度)を通じて有意に上昇していた。(著者抄録)