抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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生物多様性の保護・管理を行うためには,個体数および分布などの対象種の生態学的な基礎情報が重要である。しかし,大型ほ乳類については,個体数,生息域などの情報が不足している。これは,ほ乳類は夜行性のものが多く,また分布域が広いなどのため観察が困難だからである。そこで,著者らは,航空機リモートセンシング画像による雪の上の足跡に注目し,それを自動抽出して個体数の密度推定を試みた。そして,足跡を自動抽出するためのDTRアルゴリズム(Computer aided detection of tracks of wild animals algorithm)を開発した。今回,開発したDTRアルゴリズムによって,稚内の南東に位置する猿払川流域の約20平方キロの航空機ディジタル画像を用いて野生動物の足跡を抽出した。足跡はほとんどがシカのものであったので全てシカと仮定して,INTGEP(Intersection Points Counting Method Based on Geometrical Probability)法により個体数密度推定を試みた。その結果,1平方キロあたり0.04~0.4頭となった。これは既存研究より1~2桁小さい値である。足跡の重なりが分離できていない,足跡の残りにくい領域を除外していないなどの原因で過小評価になったと考えられ,補正が必要である。しかし,DTRアルゴリズムが有効であり,また,INTGEPによる個体数密度推定方法が個体数変化の指標として利用可能であることを示した。