抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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毛細管に封入された水では,過冷却状態が安定化することはよく知られている。細孔直径が数ナノメートルの細孔に閉じ込められた水はバルクとは物理的・化学的性質が大きく異なっている。これら細孔に閉じ込められた水の構造とダイナミクスの両方の情報を得るためには,中性子スピンエコー法(NSE)が唯一の方法であると言っても過言ではない。本稿ではいくつかの細孔径をもつ多孔性石英ガラスMCM C10(細孔径2.04nm)に閉じ込められた重水(D
2O)のダイナミクスと液体構造の関連をNSEで調べた。C10中のD
2Oは140Kまでの温度範囲で液体として安定であった。中間散乱関数がKohlrausch-Williams-Watts Stretched exponential関数で解析された。毛管凝縮状態で閉じ込められたD
2Oの緩和時間は298Kと220Kの範囲ではVolgel-Tamman-Fulcher式に良く従うが,220K以下ではArrhenius型の挙動を示した。この変化は動的クロスオーバーといわれ,多孔材料に閉じ込められた水についてNMR緩和でよく見られる現象である。一方,単層D
2Oでは,測定された温度範囲ではこの現象は観測されなかった。これは表面水の水素結合の部分的な破れのためと考えられる。