抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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外乱の影響を抑制する制御としてH
∞制御がある。H
∞制御では,全状態の利用可能なフィードバック制御則により外乱から出力までのH
∞ノルムを指定した値に抑制する場合,外乱がシステムに加わるようすを示す外乱項の係数がRiccati方程式に陽に表われるため,安定とする解が存在すれば,外乱から出力の伝達関数のH
∞ノルムが指定した値γ未満に抑制されることが保証される。しかしながら,外乱の係数項がRiccati方程式に加わるため,システムを安定とする解の存在についてはRiccati方程式から直ちには判別しにくい。一方,LQ制御はRiccati方程式に外乱の加わる項がないので,可制御性や可観測性などの条件だけで安定とする解の存在を保証することができる。全状態の利用が可能な状態フィードバックによるH
∞制御において,外乱抑制という条件を除く,すなわち外乱抑制の評価パラメータγをγ→∞とすればLQ制御に漸近するので解の存在は保証される。しかし,γを有限値としたときやフィードバックゲインを調整するパラメータεを,ε→∞に極限したときの解の存在とその条件は必ずしも明確なものではない。そこで,本論文では特に有限値γ>0をできる限り小さくしても,閉ループ系を安定とする解が存在するためにはいかなる条件が成立すればよいか,そのときεをどのように選定すればよいかについて,状態フィードバックによるH
∞制御の設計パラメータγ,εにかかわる問題を検討した。その結果,状態フィードバックによる比制御において,やや限定される条件ではあるが,安定な外乱分離条件を満足する条件の下でRiccati方程式の解については,任意のγに対してεを小さく選定すれば安定となる解が得られ,特にγを小さくしてもε→0とすることで安定となる解が必ず存在することを示した。また,特別アクチュエータが多く存在するメカニカル系のようにIm B⊃Im Dの条件を満たせばγに対し,εをどのように選定すればよいか明確に決定できることを示した。さらに安定な非干渉条件を満足し,安定外乱分離条件を満たしている場合には,ε→0でLQ制御の解に漸近することから近似的な非干渉化と外乱抑制を同時に達成することを明らかにした。