抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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有田焼の発色技術は,経験によって確立されたもので,これまでに高度な分析機器による科学的検証は殆どなされていない。陶磁器の発色メカニズムが解明されれば,発色の再現が可能となるのみならず,新たな陶磁器の発色技術の開発が可能で,陶磁器に新規発色による付加価値を付与することが期待される。本研究では,青色,緑色,ピンク色,赤色と幅広い発色を示す銅系陶磁器釉について,シンクロトロン光を利用した分析により,釉中の銅の状態変化(価数変化など)を調べ,発色メカニズムの解明を行った。2種類(石灰釉(CA),バリウム釉(BA))の基礎釉に塩基性炭酸銅を0.5mass%添加し,銅釉発色性試験用の釉薬を調整し,素焼きの陶板に施釉し,ガス炉で還元ガス雰囲気下1300°Cで焼成,評価用銅釉試料を作製した。XRD,TEM,EDS分析からCA釉の発色変化の原因は還元焼成によって数nm~20nmのCu微粒子が析出,凝集したためと考えられたが,BA釉の場合は色変化は確認されなかった。一方,XAFS測定からは,CA釉,BA釉共にXANESのプリエッジの形状はCuよりもCu
2Oに近くなっており,一部矛盾した結果となった。今後,銅釉の発色変化の原因についてはさらに再検討が必要である。