抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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現在の大陸地殻の体積の数倍がマントルに沈み込み,地表から失われたと考えられる証拠が,近年,提示されている。本論文では初生花崗岩と考えられるTTGおよび橄欖岩(マントル)の地球内部深度での相転移により生じるとされる鉱物の密度および弾性特性を第一原理計算によって求め,比較を行った。その結果,300-660kmの深度での相転移では花崗岩は橄欖岩よりも大きな密度を持ち,640kmの深度でさらに大きな密度差を生じることが予測された。スラブによって花崗岩がマントル遷移層深部まで運ばれると,この密度差によって花崗岩はスラブから剥離し,遷移層の底に集積する。一方,花崗岩は下部マントルよりも軽いために,下部マントルには沈み込めない。またマントル遷移層の温度では花崗岩は流体が存在しないとマグマとして再溶融することができない。従って花崗岩質物質は遷移層に一方的に集積する。670kmでの地震波速度の不連続性や800-1000kmの深さでの地震波散乱帯の存在は,これらの深度で花崗岩質物質の速度が橄欖岩よりも特徴的に速いことから解釈できる。これらのことから,マントル遷移層下部に地表の大陸地殻の約6倍の花崗岩質地殻(第2地殻)が横たわっている可能性が指摘される。