抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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廃棄物の資源化・利用は循環型社会の形成への中心的課題である。さまざまな廃棄材料の資源化が進む中,廃プラスチックは金属やガラスに比べコストが高く,得られる再生製品の市場価値が低いなどの課題が指摘されてきた。しかし,資源価格の高騰で資源としての価値が高まっている。また日本では,循環型社会形成促進基本法の施行から10年を経て,企業の関心は廃棄物資源の徹底した利用に向かい,環境省や経済産業省では発展途上国への廃棄物資源化技術の移転推進政策を打ち出すまでになっている。廃プラスチックから得られる代表的な資源化製品は,再生樹脂と燃料である。使用済み家電や廃棄自動車など混合廃プラスチックの静電選別による樹脂種別の分離が実用化され,廃プラスチックの再生樹脂として活用が拡大している。また,固形・液体・ガスの各燃料化も技術的信頼性が実証され,特に固形燃料は製紙業界を中心に石炭代替のボイラー燃料として普及している。しかし,廃プラスチックは,資源化コストが高く排出者やごみ処理関係者に経済的メリットが小さい。このため,資源化される割合は廃プラスチック総排出量の内,およそ3割に留まっている。廃プラスチックの資源化率を向上するためには,混合廃プラスチックを低コストで市場価値の高い製品へと資源化することが重要であり,精密分離や熱分解に新技術の開発が必要である。低コストで環境上効果的な処理と資源化が実施されるよう技術の高度化への取組みが必要である。特にプラスチックの物質フローの上流に位置する石油化学,プラスチック製造企業や各種研究機関には,低コストで環境上効果的な処理と資源化が実施されるよう技術の高度化が望まれる。廃棄物の処理と資源化は,多数の要素技術を組み合わせたシステム技術であると同時に多数の利害関係者を巻き込む社会基盤の形成の取組みであり,国や地方自治体の,廃棄物処理・資源化事業者の現場に直結した支援,地域の実情に合った支援や体制づくりの推進が不可欠である。例えば容器包装プラスチックのように市場経済のもとでは有効に資源化することが困難な未活用資源については,国が関与し適切な法や制度のもとで効果的にその活用を図る必要がある。(著者抄録)