抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1997年8月に南極昭和基地において発現した地上オゾン急減現象(以下,SOD)は約1日継続した。地上オゾン濃度は,SODの前後では30ppbv程度であったものが,SOD期間中には3ppbvから0.1ppbvにまで減少した。オゾン濃度が低下している間は,地上付近のエアロゾルの全ての粒径(0.01μm以上~5.0μm以上)において,数濃度が一桁程度高い状態が維持されていた。SODの開始と終了時期のオゾン濃度とエアロゾル濃度の時間変化は急激で,SODに関連した気団の境界が明瞭であったと考えられる。SOD期間の昭和基地上空では,3000m付近まで湿度の高い層が観測された。SOD終了直後に実施したオゾンゾンデ観測では,高度3000m付近までオゾン濃度の低い空気層が観測された。SODは,トラフに伴う前線が昭和基地を通過後に発現した。米国NOAAの衛星雲画像及び空気塊のバックワードトラジェクトリー解析の結果,SODをもたらした大気は,ウェッデル海域の地上付近の大気が東方へ輸送され,前線の西側に位置していたものと考えられる。1997-2008年の12年間に発現した28回のSODを抽出して比較した結果,本稿で対象とした1997年8月28-29日のSODが,1997-2008年の内で,その継続期間及び期間中のオゾン最低濃度において,他のSODと比較して最も顕著なものであったことがわかった。(著者抄録)