抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
牛肉のおいしさでは軟らかさへの脂肪の影響は大きく,筋内脂肪量が重要視されている。一方で,近年では牛肉品質に与えるトリアシルグリセロールを構成する脂肪酸組成の影響が注目されている。しかしながら,これらの筋内脂肪量や脂肪酸組成に関する知見が,牛肉賞味時の食味性を直接反映しているか否かは不明である。本研究の目的は,牛肉のおいしさに関連する筋内脂肪が,熟成および加熱調理によりどのように変化するかを明らかにすることであった。黒毛和種牛肉の第6~第7肋骨間ロース部を4°Cで保存し,と畜後7,14,および28日目にロース芯から筋肉片を採取した。Folch法に従って総脂質を抽出し,総脂質からシリカゲルカラムクロマトグラフィー法でトリアシルグリセロール(TG)および遊離脂肪酸(FFA)を分画し,それぞれ定量した。さらに各脂質クラスにおける脂肪酸組成の熟成による変化を分析した。一方,熟成21日目のロース芯を65~70°Cで加熱調理後,加熱前後の試料から同様に各脂質クラスを分画・定量し,脂肪酸組成を分析した。その結果,熟成後の牛肉中の総脂質量とTG量およびそれらの脂肪酸組成に変化は認められなかったが,遊離脂肪酸量が有意に増加した(P<0.05)。加熱前後の牛肉では各脂質クラスの量および脂肪酸組成に変化は認められなかった。これらの結果から,黒毛和種牛肉の脂肪由来のおいしさに,熟成中に増加し,加熱調理でも影響を受けない遊離脂肪酸が関与する可能性が考えられた。(著者抄録)