抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究はアミノ酸および食肉タンパク質酵素分解物(MPs)に関してMPsの抗酸化活性機序を推定するとともに,ペプチドが抗酸化活性を発現するために重要な条件を調査した。DPPH法およびORAC法のデータからアミノ酸を抗酸化活性機序に基づいて分類すると,ET型はCys,HAT型はHis,Met,Tyr,Trpとなった。特にCysおよびTrpは微量でも高い抗酸化活性を示すことから,ペプチドの抗酸化活性発現に重要なアミノ酸だと考えられた。次に食肉タンパク質酵素分解物の抗酸化活性機序の推定を試みた結果,MPsの抗酸化活性機序は主にHAT型であり,牛および豚肉MPsはカルノシンやアンセリンなどHis由来の活性,また鶏肉MPsはTrp由来の抗酸化活性を発現している可能性が示唆された。そこで含有アミノ酸と抗酸化活性機序との関係を詳細に調査するために,MPsを再構成した。加水分解アミノ酸分析の結果を反映した再構成MPsはよりもとのMPsに近い活性を示し,His由来の抗酸化活性を発現した可能性が示唆された。DPPH法を用いた場合,再構成MPsはもとのMPsより低い活性を示し,ORAC法を用いた場合,再構成MPsはもとのMPsより高い活性を示した。各種ラジカルを消去できる抗酸化アミノ酸の種類が異なることを考慮すると,特にDPPHラジカルの消去にはペプチド特有の立体構造も重要な要素になると考えられた。さらにペプチドとラジカルとの相互作用に関わる要素,特に極性に着目し,豚肉MPs由来の低疎水性ペプチド混合物および高疎水性ペプチド混合物の抗酸化活性を測定した。各種ラジカルの消去には低疎水性のペプチドが有効である可能性が考えられ,ペプチドと各種ラジカルとの反応には疎水性度に起因する親和性が関与することが示唆された。アミノ酸組成は抗酸化ペプチドに重要な要素である。しかしアミノ酸配列もまた抗酸化活性発現に重要な要素である。アミノ酸残基が適正に配列されて初めて抗酸化活性が増強される。ペプチドの抗酸化活性の発現について,様々な機構が提案されているが未知の部分が多い。従って今後はアミノ酸配列の抗酸化活性への影響および,抗酸化ペプチドの作用機構についてより詳細に研究していく必要がある。...(著者抄録)