抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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伝統芸能“文楽”では,3人の人形遣いが1体の人形を“ず”と呼ばれる特殊な合図を用いて協調操作するといわれている。しかし一般的な芸能では,事前の打合せ,音楽や台詞などの通信手段が協調に対して支配的になると考えられる。そこで,本論文ではこれらの通信手段を統制した場合としていない場合とで人形動作を比較し,人形の協調操作において主要となる通信手段を特定した。本論文では意思決定を行う主遣いが操作する頭部及び右手と,主遣いから合図を受け取る左遣いが操作する左手の動作に着目した。基本動作である“お辞儀”を比較対象とし,比較手段として各軸方向での動作波形観察,並びに相互相関関数による動作波形の一致度を用いた。まず,比較の前提条件として同一条件下での繰り返し実験により,人形遣いの操作の再現性を確認した。次に,“ず”以外の通信手段である,事前の打合せと“床”(音楽と台詞)のそれぞれが利用可能/不可能な状態で実験を行い,動作を比較した。その結果,これらの通信手段を用いなくとも協調操作が可能なことが示された。このことは,文楽人形の協調操作において“ず”が主要な役割を果たしていることを示唆する。(著者抄録)