抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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研究開発においてグローバル競争の加速や競争的研究資金の増加を背景に,研究成果の定量的評価に関心が高まっている。現在,個々の研究論文の評価では被引用数の利用が一般的であるが,被引用数とは異なる手法によって論文単位で影響度を指標化する手法「Altmetrics」(Alternative Metrics)に注目が集まっている。Altmetricsは,論文やデータセットなど様々な研究成果物の影響を,ソーシャルメディアの反応を中心に定量的に測定する手法と,その手法を用いて新しい研究の影響度を測定する活動を指す。論文評価に関しては,測定データの組み合わせにより,論文単位で多面的・複合的定量評価の可能性につながる影響度を測ることができる。論文公開後のtwitterなどソーシャルメディアの反応の定量化によって,社会的影響度や専門家からの評価・利用状況を即時に測定し,論文の様々な「今の」反応が公開直後から計量可能なため,被引用数増加の先行指標や技術予測等を支援・補完する評価手法となりうる。研究者の引用行動は,論文を閲覧し必要な知識として保存,論文執筆の際に自分の研究と関連づけて引用するが,閲覧や保存の過程も測定可能で,専門家への影響度をより広範囲に測ることができる。また,引用頻度が多くない分野や引用関係が把握しにくい和文論文に関してもより有効である。電子ジャーナルの時代になり文献管理ツールとSNSの連携などにより,論文ごとの閲覧数・参照数やコミュニケーション状況のデータ取得が容易になり,さらに,オープンアクセス(OA)化の浸透により,広い分野から大量の論文を集めるOAメガジャーナルが一定の影響力を持ちつつある。今後,OAとAltmetricsの組み合わせが,従来の商業出版社のジャーナルの査読体制と質のコントロールに与える影響に注視が必要である。Altmetricsでは,測定不能であった一般社会への影響度などにより複合的評価が可能となり,すでに,世界の主要ジャーナルに採用され,研究パフォーマンス測定ツールにも組み入れられている。研究者・機関や政策担当者は,研究評価や学術情報流通,さらに政策分析や評価にも利用可能なツールとして認識し,それぞれの問題関心に沿ったデータの集計・測定に向けて役立てる必要がある。(著者抄録)