抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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酪農業において搾乳施設廃水とともに排出される廃棄乳の処理が大きな課題となっている。メタン発酵による廃棄乳からのバイオガス回収が望ましいが,含有する乳脂肪や高級脂肪酸が発酵阻害を引き起こす。本研究では,廃棄乳を含む酪農廃棄物を対象としたメタン発酵の前処理として電解酸化法を検討した。消化液を種汚泥として乳牛糞尿を投入した37°Cでのバッチ式メタン発酵において,牛乳を発酵汚泥の全量に対して15%投入したところ阻害が確認された。陽極材料にDSA(Dimensionally Stable Anode)を用いて電解酸化処理した牛乳を投入すると,未処理牛乳と比較してメタン生成量は増加した。これはオレイン酸などの難分解性物質が,電気化学的に易分解性物質へと転換されたためと考えられる。しかしながら,メタン生成までの遅延も観察された。Ti/PbO
2電極を用いた電解酸化法で前処理した牛乳を投入したところ,メタン生成量が減少するなど,DSAを用いた場合よりも強い阻害強度が観察された。これは牛乳中のラクトースなどの電気化学的酸化により生じたギ酸が,消化液や乳牛糞尿における菌叢のメタン生成菌では資化できないためと考えられた。本研究の結果から,DSAのような活性電極を陽極に用いた電解酸化法による前処理により,廃棄乳のメタン発酵性能を向上できることが示唆された。(著者抄録)