抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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平成24年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震は,東日本を中心に甚大な地震と津波の被害をもたらした。地震による津波は,従来の設計外力をはるかに上回るものであり,青森県の八戸港から茨城県の鹿島港に至る関東・東北太平洋側の港湾施設全般に甚大な被害をもたらした。防波堤に関しては,全長約60kmのうち約26kmが被災した。本文では,特に被害の大きかった防波堤等の被災状況と津波による被災のメカニズムについて紹介するとともに,今回の巨大津波を踏まえた今後の対策について述べた。津波による被災のメカニズムは,水位差による滑動,流れによる捨石マウンドや地盤の洗掘に伴う堤体の傾斜・沈下・移動,越流による背後の洗掘に分類できる。巨大な津波を防潮堤で完全に止めるためには膨大なコストが必要であり,必ずしも現実的ではない場合も多いのが現状である。このような場合には,費用対効果の観点も考慮して,浸水災害を有効に軽減できる防潮堤の高さを選択するべきである。防波堤に関しては,基本的に波浪に対して港内の静穏を確保することを目的としており,津波防波堤を除いては,必ずしも津波に対する軽減効果を考慮しているわけではない。しかしながら,実際には津波に対してある程度の軽減効果を有する防波堤もあり,こうした防波堤は津波防災の観点においても重要である。