抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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モチ性小麦粉(もち姫:1.4%アミロースを含む)と市販小麦粉(薄力粉,中力粉,強力粉)の懸濁液の糊化過程におけるリン脂質の動態をラビットビスコアナライザーを用いて比較した。もち姫の全リン脂質リンPL-Pi量は市販小麦粉の50%で0.2mg/g小麦粉であった。もち姫を除いて,市販小麦粉の場合水飽和n-ブタノールによる熱(沸騰水)抽出されるPL-Pi量(HOT-PL-Pi)が常温抽出量(RT-PL-Pi)を上回っていた。しかし,小麦粉糊液が糊化して粘度上昇中では,逆にRT-PL-Pi量がHOT-PL-Pi量より高くなった。ところが,最高粘度に達した後,粘度が低下する段階では再びHOT-PL-Pi量がRT-PL-Pi量より高くなった。一方,もち姫の場合は,RT-PL-Pi量の方がHOT-PL-Pi量より2.5倍高かったが,懸濁液では,いずれの場合においてもHOT-PL-Pi量は粉の場合よりも低く僅かであり(0.01mgPL-Pi/g小麦粉),しかも最高粘度に達した後,粉のHOT-PL-Pi量(0.06mgPL-Pi/g小麦粉)まで再び増加しなかった。リン脂質組成は,RT-PLの場合,もち姫ではLPC,PCおよびアシル型PEが主要なリン脂質であったが,市販小麦粉の場合はLPCとアシル型PEが主要なリン脂質であった。一方,HOT-PLの場合は,もち姫を含めて,全ての小麦粉でLPCの割合が80%以上で次いでLPEの割合が10%前後であった。以上のことから,モチ性小麦粉もち姫のPL-Pi量は,市販小麦粉の50%であり,また,RT-PLでは,PCの割合が市販小麦粉より高いことがわかった。モチ性小麦粉もち姫を快く分与して頂いた(独)農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センターに感謝申し上げます。本研究経費の一部は,科学研究費補助金「基盤研究(C)24500961」によるものである。(著者抄録)