抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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砂層内の放射性セシウム濃度の分布と,地下水の挙動や表層の砂の移動との関連性を検討するために,いわき市永崎海岸において,放射能汚染事故1か月後から線量調査を行ってきた砂浜において,地盤高,地下水位,および砂のセシウム濃度の計測を海側から陸側方向の5地点で行った。調査は,2012年11月23日の10時~14時に地盤高と水位を計測し,2012年12月15日に,砂浜深さ方向に10cm毎に,砂を採取して放射性セシウム濃度を計測した。また,砂の移動は,2012年10月27日,11月20日,および11月23日の地盤高から計算した。調査結果は次のとおりである。1)地盤高および砂層内の地下水位は,陸側から海側方向にかけて徐々に低くなっており,砂層内部では陸側から海側方向に地下水が流出する水脈になっていた。2)地下水の塩分濃度は,海側から陸側にかけて低くなる傾向を示し,地点によっては地下水や河川水による海水の希釈が考えられる。3)砂層内における砂の放射性濃度は,2地点において砂層が深くなるにつれて次第に濃度が高くなっていた。4)砂層内における地下水の変動パターンは,下げ潮時に淡水地下水が海側に流出し,上げ潮時にはそれが抑制されることを示す。5)地盤高の変動は,調査期間では海側から陸側に向かって,風により表面の砂が移動しやすい傾向にあったことを示す。これらの結果は,淡水地下水中の塩分濃度から,原発事故後の放射性セシウムにより汚染された海水が砂層内へ流入した可能性を示す。