抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2012年11月の大統領選挙によってオバマ大統領が再選された。以前よりオバマ政権は,教育政策,特に理数系教育を重要な政策課題の一つとして位置づけている。これは,オバマ大統領再選直後の特別寄稿「米国,私のビジョン」において,「変革とは,どんな年代の人でも,良質な職に就くための技能と教育を得られる国にすることだ。(中略)今後は高技術,高賃金の雇用が中国へ流れないよう,数学と科学の教師を10万人採用し,コミュニティー・カレッジでは地域産業界がまさに今必要としている技能の訓練を,200万人の労働者に提供する。」と述べていることからも明らかである。この背景として,米国ではエンジニアリングやヘルスケアなどの分野は,将来的にも市場が拡大する教育上の重要分野とされており,それらの分野を支えるのはScience,Technology,Engineering,and Mathematics即ちSTEM教育であるとの認識がある。そのような中,米国大統領科学技術諮問委員会(PCAST)は,2012年2月に「優越を目指して取り組め:100万人の科学技術工学数学の学位をもつ大学学部卒業生の新たな輩出」のレポートを大統領に提出した。そこでは,米国が今後も科学技術分野での優位性を保つために,STEM分野の専門家を今後10年間において100万人増員する必要があるとし,それを実現するための大学教育改革に関する5項目の方策を提言している(図表)。この提言は,オバマ政権下では積極的に実行されると予想される。また,この提言は,理工系離れが懸念されている日本においても参考にすべきものがある。特に,理工系教育の重要性の認識の共有,理工系学生数の数値目標の設定,リソースを考慮した教育改革の長期的展望,大学への入り口(高校)と出口(産業界)との連携などは重要点である。日本では,大学など高等教育機関の有り様が問われているが,科学技術立国としての優位性を堅持するためには,どのような基礎分野を特に強化し,どの程度の人材数を育成すべきかなどについて議論し,実現させることが重要と思われる。(著者抄録)