抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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地方自治体における適応策を推進するためには,適応策の基本方針と戦略を整理する必要がある。本研究では,適応策の普及に関する論点として,(1)緩和策と適応策の関係,(2)気候変動の影響分野横断的な適応策の方針,(3)追加的適応策の明確化の3点を設定し,各々に対応する理論的枠組みを設定・提示した。さらに,その枠組みを用いて,気候変動の影響分野毎の施策を具体化し,その枠組みが適応策を抽出・整理するうえで有効であることを検証した。環境省が2008年と2010年に作成した適応策関連の報告書に比べると,本研究は,(1)緩和策と適応策を脆弱性の要素(気候外力,感受性,適応能力)との対応で整理したこと,(2)既存施策に対する追加的適応策を強調するために,適応策に係る3つのレベル(防御,順応・影響最小化,転換・再構築)の考え方,感受性の根本改善,中長期的影響への順応型管理の考え方を提示したこと,(3)技術や手法ではなく,施策を整理したことに意義がある。また,「影響のタイプ及び分野」,「影響の深刻度及び適応策のレベル」,「影響及び適応策の時間スケール」等を設定し,適応の技術・施策を網羅する枠組みを設計することができた。今後は,各影響分野の関係主体によって,本研究で整理した適応の技術・施策に基づき,地方自治体が実施すべき施策メニューとしての精度を高めることが課題となる。さらなる適応策の普及のためには,本研究で整理した緩和策と適応策の関係,追加的適応策の考え方への認知や理解を広めることが必要となる。そして,追加的適応策(特に,土地利用,長期的リスク管理)の実現上の隘路を分析し,適応策の阻害条件の解消方法についても,計画制度や設計手法等に踏み込んで,具体的に提示していく必要がある。(著者抄録)