抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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優れた加工特性を示す小麦粉は多種多様の加工食品をもたらし,日本の食生活を支える重要な食品素材のひとつであるが,一方でそのタンパク質の性質により代表的なアレルギー反応を示すことでも知られている。日本における低い食料自給率の向上と食物アレルギー反応の低減化を目指し,近年,小麦粉代替品として,国産米粉が注目されている。本研究では,小麦粉の代替品として米粉を取り上げ,小麦粉の「焼く」という調理・加工方法に対し,米粉に適した「蒸す」という手法により蒸しパンを調製した。米粉の品質改良剤として各種澱粉も併用し,その美味しさと低アレルゲン性を示す米粉加工食品の調製方法を検討した。ウルチ米粉の小麦粉アレルギー反応は陰性であったが,使用した澱粉には陽性を示すものもあった。さらに,反応は弱いものの,全ての米粉蒸しパンから陽性反応が認められた。米粉単独による蒸しパンは,保形性と膨らみの悪い外観であった。しかし,米粉由来のリン酸架橋澱粉とヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉の添加により,その保形性や膨らみと明るさは向上し,ウルチ米粉単独の蒸しパンに見られた崩れやすさも改善された。一方,これらにタピオカ澱粉を併用すると,同様に良好な結果が得られたが,極めて硬い蒸しパンとなり,ソフト感保持と改善には至らなかった。従って,ウルチ米粉ベースの製品には,同様のウルチ米由来の加工澱粉との相性が良く,米粉加工食品への品質改善効果が期待された。しかし,アレルギー反応の視点からは,米粉製品であっても小麦アレルギー患者に対する詳細な検討が,更に必要であると考えられた。(著者抄録)