抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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プライバシーという概念は,これまでもその定義は曖昧であったが,ソシアルメディアの進展とビッグデータ時代を迎えて,従来的な意味でのプライバシー概念の理論枠組みにとらわれることなく,現在の情報環境や個人情報の利用状況を適切に認識,分析をおこなうためのアプローチの必要性が生じている。そこで,本稿では,まず,FacebookやTwitterといったソシアルメディアの利用が活発となり,個人自らが自己情報を発信することで個人情報がこれまで以上に広く公開・共有されうる状況が存在するようになったため,それがプライバシーの侵害状況として認識されない等の新たなリスク局面が生み出されていることを述べた。次いで,企業や組織がビッグデータと呼ばれる膨大な量のデータの収集・蓄積・利用・分析等を高度に実現しているが,それらのプロセスがオートマチックに行われるため,プライバシーの侵害への懸念をほとんど感じさせることがないが,一概にプライバシー侵害がないと結論づけることは問題であることを指摘した。さらに,ソシアルメディアの進展とビッグデータの活用が進む現在の情報環境の中で,プライバシーという概念が,個人の尊厳・自立と社会の繁栄の確保のために真に有効性のあるものに生まれ変わることが求められていることに言及した。