抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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二相ステンレス鋼板(SUS329J3L)を使用したケミカルタンカの日本での建造実績はない。本研究では,SUS329J3L鋼板を使用したケミカルタンカを建造するにあたり,SUS329J3L鋼板母材ならびに,SUS329J3L鋼板同士およびSUS329J3L鋼板とSUS316Lクラッド鋼板との溶接継手部の諸強度特性・溶接性・腐食特性を把握した。それらの結果とケミカルタンカ建造実績の多いSUS316LN鋼板の諸特性と比較検討して,評価した。得られた知見は次の通りである。1)SUS329J3L鋼板は,SUS316LN鋼板と諸強度特性・溶接性・腐食特性の面で同等以上であることが明らかになった。すなわちSUS329J3L鋼板はSUS316LN鋼板と同様に,ケミカルタンカへ実船適用用可能であることが確認された。2)突合せ溶接継手,十字隅肉溶接継手,SUS329J3L鋼板とSUS316Lクラッド鋼板との完全溶込み十字溶接継手などの疲労試験結果より,SUS329J3L鋼板とSUS316LN鋼板の疲労強度は略同等であり,SUS329J3L鋼板のケミカルタンカヘ実船適用可能であることが確認できた。本研究の成果と,NKより発行された二相ステンレス鋼の溶接に関するガイドラインの留意点を確認しながら建造した,濃硫酸・パーム油運搬船(12500MT)が2014年11月に就航した。本船のカーゴタンクの隔壁部分に,SUS329J3L鋼板を採用した。