抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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交通安全の向上を目指して,ゾーン30などの面的な速度抑制対策が各地で進められている。しかし,その際の対象地域の選定方法に関しては「幹線道路等に囲まれた地区」というルールはあるものの,都市内の何処を対象とするのかという点について,明確なルールは存在しない。結果として,「対策が効果的な地域」ではなく,「対策を導入しやすい地域」が選択されているような事例も散見される。そこで,H25年度のタカタ財団研究助成「周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究」において,岡山市,豊田市,名古屋市を対象として,土地利用,都市施設配置,人口分布等を説明変数として,面的な交通安全対策の必要な地域を明らかにする研究を進めてきた。これらの結果から,都市全体のスケールで見ると比較的良好な成果が得られている。しかし,道路ネットワークや通過交通など,H25年度の研究助成の枠組みのみでは分析困難な要素について課題が残されており,また,そのような変数を導入することにより,更に精度が向上することが期待できる。その結果,以下のようなことが明らかとなった。・□抜け道交通発生に関しては,「混雑時平均旅行速度」「単位面積当たりの交通事故件数」および「田圃利用率」がモデルに有意に寄与しており,抜け道交通発生の大きな要因になっている。地区周囲における幹線道路での「混雑時平均旅行速度」が低く,「単位面積当たりの交通事故件数」が高く,田圃としての土地利用率「田園利用率」が低い地区ほど抜け道交通が発生する。・□周辺土地利用と道路ネットワークから見た生活道路での交通事故の発生レベル予測モデルについては,負の二項回帰モデルの当てはまりが良いことが明らかとなった。また,当該モデルの考察を通じて,人口が多く,街路形態がグリット形状で,交差点が多く,近隣商業地域に指定される地域において生活道路での交通事故抑制の観点から面的な速度抑制を積極的に推進すべきであることを提案した。...(著者抄録)