抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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太陽系天体の中で,火星は最も地球に似た表層環境を有し,また生命の存在条件を満たした惑星(ハビタブルプラネット)として,最も多くの探査機が送られてきた。本総説では,まずこれまでの火星探査の歴史を概説する。火星探査の特徴は「生命」「地質学的多様性」「ダスト」というキーワードにより表わされる。探査手法は,火星表面で着陸機を用いて行う探査と,周回軌道上から行う探査に大別される。着陸機による探査は生命代謝の検出が大きな目的であったNASAのバイキング計画から始まり,その後,液体水及びその痕跡の検出を主目的とするローバーを用いた探査が行われてきた。一方,地形図や地質図といったグローバルな火星の地球科学的情報をもたらす周回機による探査は,マーズ・グローバル・サーベイヤー以降総合的に行われてきた。分光観測の技術の進歩により,空間分解能が向上し,また検出深度の深い観測も行われるようになった。これらの探査により,過去の火星には液体水が存在したことや,現在でも地下氷からなる大規模な帯水層が存在していることが明らかになってきた。最後に,サンプルリターン計画や有人火星探査計画に向けた将来火星探査計画を紹介する。