抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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著者らは以前に境界音場制御の原理に基づいた音場再現システム(BoSCシステム)を提案し,再生音場内の良好な音場を再現しながら頭部移動に対しても高精度な音像定位を提供した。本論文では,再生音場において受聴者(演奏者)が自ら発した楽器音に対する所望の空間の応答をリアルタイムにフィードバックし,受聴者にホールステージ上で演奏しているような3次元的な響きを提供する音場シミュレータを提案した。原音場と同じ残響を有する音場を再現するために再生音場に楽器からの音響信号を収音するマイクロホンを設置し,その出力信号に実時間で畳み込む残響生成用フィルタを設計する必要がある。そこで,1)BoSCマイクロホンによる原音場の伝達関数の計測,2)内部に96個のスピーカを有する演奏可能な没入型聴覚ディスプレイ”音響樽”内での伝達関数の計測,及び逆システムの設計,3)残響生成用フィルタの設計によって音場シミュレータを実現する。一方,3)では逆システムの遅延と実時間畳み込み処理による遅延を考慮する必要があり,原音場における反射音成分と因果性を保つために十分な時間遅延で設計した逆システムの積を設計し,その逆フーリエ変換によって求められた時間信号を調整が必要な時間だけ前方にシフトした。シミュレーション及び実システムの実測では残響時間,及び反射音のエネルギーを良好に再現できた。