抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ポリキャピラリーX線レンズとPC制御で試料ステージを駆動できるエネルギー分散型蛍光X線分析装置(島津製作所製μEDX1300)を用いて,沖縄トラフ及び伊豆・小笠原弧の海底熱水鉱床産の硫化鉱物の同定を行った。ポリキャピラリーX線レンズのグラスファイバーによるX線の集光現象を活用してロジウム管球で発生するX線を50μmの大きさに集光して試料表面に照射することにより,鉄や銅,モリブデンのKα線の強度マッピングを行うことができる。しかし銀のKα線(22.105keV)は全反射させることができないため,銀の元素濃度マッピングはLα線(2.984keV)を用いなくてはならない。X線管球電圧を50kVに設定した場合,集光されたX線は0.02mmの厚さのジルコニウム箔を透過できるものの,0.04mmの厚さのジルコニウム箔をほとんど透過することができない。従って,集光されたX線はジルコニウム箔と同程度の密度を有する鉱物の表面付近の分析をすることになる。X線検出器で検出されるX線強度は試料と検出器の距離の影響を大きく受ける。そのため,硫化鉱物の研磨片試料の場合には50μmの微小域分析や元素濃度マッピングが可能であるが,堆積物中に含まれる粒子径の異なる硫化物の化学分析や元素濃度マッピングは容易ではない。堆積物中の硫化物の存在位置を決定するためには,鉄や銅などのX線強度マッピングを行うことが有効であり,また,これらの硫化物の同定を行うためには鉄と銅のKαのX線強度比(I
FeKα/I
CuKα)や硫黄と銅のKαのX線強度比(I
SKα/I
CuKα)を調べることが有効である。黄銅鉱や黄鉄鉱,斑銅鉱などの硫化物の鉄や銅,硫黄のX線強度は粒子径によって著しく変化するものの,これらの元素のX線強度比は黄銅鉱や黄鉄鉱,斑銅鉱ごとに固有の値である。(著者抄録)