抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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人為的な気候変動に対して海洋が及ぼす影響を正確に理解するために,海洋深層を観測することの重要性が徐々に認識されるようになってきた。深海フロートは海洋データを大量に収集するのに最も適した海洋観測機器の一つであり,多数の深海用フロートを用いた観測網(深海アルゴ)の構築が社会的な観点からも強く求められている。しかしながら,水深2,000mを超える深層で利用可能なフロートは存在せず,現在いくつかの海洋研究所やフロートメーカーが深海用フロートの開発を進めている。2013年4月に海洋研究開発機構と鶴見精機は深海用フロート「Deep NINJA」の開発に成功した。これは永年海氷域を除く世界中の海洋で最大4,000mまでの観測を行うことができる。Deep NINJAは利用者の求める観測パターンのほとんどを実施することができ,そのパターンは海洋への投入後も電子メールによるコマンドを送るだけで変更できる。リチウム電池を搭載したこのフロートは稼働期間中に4,000dbarからの観測を45~51回行うことができると推定されている。これは,観測周期を15日としたときに2年間の観測が可能であることを意味する。フロートによる(特に塩分の)観測データの品質を高めるため,投入時には船舶観測を行うことを強く推奨する。本稿では,Deep NINJAに用いられている要素技術のうち,観測機能に直接関係するもの(例えばセンサや深度制御システム,稼働期間)について述べる。また,このフロートが南大洋にて行っている観測の現状について簡単に紹介する。そして最後に,予定されている改良や,この開発が将来の海洋観測にどのような影響を与えるかについても言及する。(著者抄録)