抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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生物多様性の保全を考えるとき,外来種は不可避の問題である。国内では2016年時点で,1600種以上の外来種が確認され,13年間で約400種の外来種が野生化した。最近では外来種問題について学び,地域の生態系について学ぶ環境教育プログラムも存在するようになった。本論文では外来種問題を題材とした環境教育を通して,その役割と注意点について議論した。最初に外来種が地域の生物多様性へ与える影響についての研究状況を紹介した。次に侵略的外来植物の導入・拡散と関連する人間活動として,意図的に導入された外来植物(シロツメクサとスイセン)と非意図的に導入されたアレチウリを紹介した。また外来種の定着の原因として農地化や都市化のような土地利用の変化があげられており,外来種の拡散は交通網の整備によるものと考えられている。これらの外来種問題を生物多様性保全や生態系管理の立場から環境教育の題材として取り上げた事例についても述べられている。最後に,外来種問題を環境教育の題材とするときの注意点として,外来種の侵略性のみを強調する問題を指摘した。外来種の侵略的な性質のみが「悪」であるのではなく,外来種の定着しやすい環境が作られていることにも注意すべきである。